TRASHレーベル研究


1979年11月25日は?

1979年11月25日。今日は私の失恋記念日です♪というのは真っ赤な嘘で、この日はBOW WOW、いやシルバースターズの記念すべき1stアルバム「銀星団」の発売日である。
さて、「シルバースターズ」というバンド名の表記だが、セカンド・アルバム「SEE」以降(といっても、サード・アルバムまでしかないのだが)は「シルバー・スターズ」と「・」が入った表記に変わっていることにお気づきだっただろうか?なにを隠そう、私、たった今、この文を書いていて気がつきました(爆)

と、つまんない前フリはこのくらいにして。

レイザーさん謎の覆面バンド、シルバースターズの正体は「実はBOW WOWだった。ただし、セカンド・アルバム以降はメンバーが変わっている(つまりBOW WOWではない)」というのが、おおよそBOW WOWファンの間の共通認識ではないかと思うが、実際のところどうだったかは、今もってはっきりしていない。やれ、メンバーは18人いたとか、メンバーの中には平○雄○もいた等々、噂話は枚挙にいとまがない。そんな未だ謎に包まれたバンドゆえ、シルバースターズは今尚、BOW WOWファンの関心をひく存在であるようだ。

さて、シルバースターズとBOW WOWの関係を解き明かすのは別の機会に譲るとして、ここではシルバースターズのアルバムをリリースした「TRASH」というレーベルについて検証してみたい。



←数少ないレイザー・クルーザー氏の手元が写った写真


21世紀のサウンド・エピキュリアン

70年代前半に全盛を誇ったブリティッシュ・ハード・ロックは70年代中期以降停滞し、70年代後半には暗黒時代を迎えていた。一方米国でもGFR、マウンテンなどが勢いを失い、ハードロックとは対照的なAORがもてはやされるようになる。また、英国ではパンクバンドが勢いを持ち、さらにテクノ・ポップ、ディスコ・ブームなどのニューウェーブ全盛の時代を迎えつつあった。
そんな最中の1979年に、「21世紀のサウンド・エピキュリアン」を標榜し、今は無きトリオレコードに誕生したのが「TRASH」レーベルである。「TRASH」はフュージョン化の進行のなかでのジャンルの細分化は無意味だとし、それよりも"予感させるサムシング"と"クオリティ"を重視する。洋楽、邦楽の壁を取り払い、海外、国内に関わらず門戸を開放するとしている。

TRASHのアーティストたち

さて、それでは「TRASH」にはどんなアーティストが所属していたのだろうか?

◆バーニー・マーステ゜ン
まず、ディープ・パープルのメイン・メンバーによって結成されたホワイトスネイクのリード・ギタリストだったバーニー・マースデン。ホワイトスネイクで注目を浴びるや否や発表されたソロ・アルバム「アンド・アバウト・タイム」は、ホワイトスネイクとは一味違うポップさが漂う。このアルバムにはコージー・パウエル、ジョン・ロード、ドン・エイリー、イアン・ペイス、ジャック・ブルース、サイモン・フィリップ、そして後にVOW WOWのベーシストとして活躍するニール・マーレーという超豪華な面々が参加している。

◆ピーター・グリーン
フリート・ウッドマックのオリジナル・メンバーであり、サンタナの不朽の名作「ブラック・マジック・ウーマン」の作曲者として知られるブルース・ロック・ギタリスト。フリート・ウッドマックでの成功が逆にピーターを精神的に追い詰めることになり70年にバンドを脱退、その後の10年間は薬物や傷害事件などで音楽界から遠ざかっていたが、80年2月にTRASHから発売された「虚空のギター」で復活を果たした。

◆メテオス
サイコビリーの同名バンド、メテオスとは別物。メンバーは、ヒューゴ・シンザイマー、フェルディナンド・バッカー、ジョン・ヴィー、エイク・ダニエルソン、エリック・デ・ズワン、ジョン・タレンスキーンの6人編成のバンドで、1978年にアムステルダムで結成、オランダEMIの秘蔵っ子としてダッチ・パンクの旗手として期待されたが、オランダではニューウェーブのバンドが市民権を得る前にトップ30に登場するも、日本では泣かず飛ばずだった。

◆クロウカス
79年7月にトリオレコードから1stアルバム「ランニング・スタート」をリリース、シングル・カットしたタイトル曲が本国カナダにおいて素晴らしいON AIR実績を記録したことから、その将来性を買われ、第2弾アルバム「ウイニングの憂愁」はTRASHからリリースの運びとなる。しかし、もともと本国カナダでのNO.1を目指していたこともあり、今や日本で彼等のことを覚えている人はいないのでは?ロックというよりかなりポップなパンド。

◆メインランド
これまた「知ってる人いるんだろーか?」なバンド。持って生まれたスター性を備えた大型バンドとして英国サウンド誌で絶賛された聞くが、当時の流行であるAOR傾向を反映したロックはやはり流行りモノでしかなく、到底今の耳では聞けたもんじゃない。でも、当時としてはこれが新しかったんでしょう。

尚、このほかディープ・パープル「ライブ・アンド・レア」「イン・コンサート」、ジョニー・デストニー「恋のアメリカン・ドリーム」といったアルバムがTRASHからリリースされている。

TRASHの邦人アーティストは彼等だけなのか?

先に挙げたアーティストは、いずれも外国人アーティストであり、アルバムは、すべて2000番台の製品番号から始まっていて欠番はない。(シングルは200番台)
一方、シルバースターズのみ1000番台から始まっているところをみると、1000番台が邦人アーティストということになるであろう。ところが不思議なことに、こちらは「銀星団」がTRASH-1001、「SEE」がTRASH-1004、「RAPE NOISE」がB-28002となっている。「SEE」および「RAPE NOISE」の帯裏には発売中および発売予定の同レーベルの作品が掲載されているのだが、「銀星団」と「SEE」の間に、他のアーティストによるTRASH-1002、TRASH-1003のアルバムが存在した形跡はうかがえない。果たしてTRASHレーベルにシルバースターズ以外の邦人アーティストは存在したのだろうか?欠番は何を意味するのだろうか?謎である。

シルバースターズは、TRASHの第1号アーティストである。噂のひとつにシルバースターズが新レーベル立ち上げの為に作られたバンドだというのがある。噂の真偽は明らかでないが、そうした話が出てくる所以はこのあたりにあるのかもしれない。

シルバースターズ、彼等はなぜ現れたのか、何を主張したかったのか?
彼等の登場から23年が経過した今も、彼らにまつわる謎はいまだ解明されていない。


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